秋の六甲山 Vories (ヴオーリズ)六甲山荘と高山植物園

3連休の快晴の12日,妻と10時過ぎに家を出て,阪急六甲から山上記念碑台前までバスで向かう.駅前では日差しが強く夏を思わせたが,山上は予想以上に涼しい.六甲山小学校前から裏道を歩き,高山植物園に向かう.カラマツの針葉樹の中を歩くと寒い位だ.途中William Merrell Vories 設計の六甲山荘に思いがけず出会い,入館料を払い見学する.Voriesは戦前アメリカから布教のため滋賀県に来日したが,若いころから建築に関心があったことから,アメリカで独学し専門家とともに再度来日.関西にも多くの彼の設計した建物が残っている.元町大丸旧館,関学神戸女学院などの公建築物,またこの六甲山荘など個人の山荘も設計している.この山荘は戦前渡米した後関学で教鞭を取っていた小寺敬一氏がVoriesに設計を依頼し,夏場に家族で避暑のために建てたようだ.そのため強い日差しを受けないように,北向きに設計されている.また,湿気を防ぐため高床にし,天井も3mと高い.雨戸も独特のつくりになっている.家族の動線を考えた彼の合理的な設計の跡が随所に見られる.冬は寒くて居住するのは無理だろうが,夏場は森の中で涼しいだろう.後で訪れた高山植物園の温度計は19℃だった.やや寒い位だ.この山荘はその後甲南女子大のセミナーハウスに,そして現在の非営利法人アメニテイ2000協会に所有が移っている.つまりボランテイアでこの山荘を維持している訳だ.この日は2人の女性がスタッフとして案内や喫茶の仕事をしておられた.放置されていた山荘の周囲は藪に覆われていたが,多くの雑木を伐採し庭を復元し,光が当たることで低木,草本類が再生したようだ.ヤマアジサイなどが目につく.この団体の会員になると宿泊でき,台所,風呂も使用できるそうだ.山荘は春から秋まで土日オープンで見学以外に,グッズの販売,喫茶もある.コーヒーの良い香りがしていたが,後があるので次に植物園に向かった. 徒歩で行くと予想していないことに出会うことができる.

ここからはクマザサの茂る暗い森の小道を数分歩くとオルゴール館へ,そして隣の高山植物園に到着.園内は一部のケヤキの木の黄色の枯葉が舞い,秋の訪れを実感する.リンドウ トラノオなどの花は目につくが,高山植物園であるためか秋の花を見たという実感はそれ程ない.でも静かな園内は落ち着く.ここからバスで六甲山牧場へ向かう.家族連れで賑わっている.外国からの観光客も多いようだ.帰りはバスが混雑し下山に手間取ったが,JR六甲道駅南の居酒屋でお造り,アナゴの天ぷら,ビールを飲んで帰る.帰宅は7時ごろだった.
写真上は六甲山荘南側,中は秋の木漏れ日が入る山荘の南側寝室,下は植物園.