春の東六甲の植物と昆虫たち

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季節は急速に春に移り変わって行く.街ではサクラは終わりに近づいたが,東六甲の山を歩くと,雑木林の新緑と花が美しい.甲山北側の鷲林寺から山に入る.この近くには修道院もあり,広大な常緑の森が存在する.鷲林寺は,真言宗の寺で塔もあり,歴史のある立派な寺院だ.寺の横の「せせらぎの道」と言われる谷沿いを歩いてみる.途中修験道の山伏が修行する滝がある.この谷筋は常緑の広葉樹林だが,アカマツヤマザクラタムシバ,コナラなどが点在している.ヤマザクラタムシバ,コバノミツバツツジの花が美しい.林床のやや薄暗いところにスミレのなかまも点在する.林床では,ビロードツリアブが地表をゆっくり飛翔していた.おそらく寄主を探索しているのだろう.雌はヒメハナバチの幼虫に産卵する外部寄生者らしい.本種の寄主についてしばらくGoogle scholarを調べたが詳細は分からなった.ビロードツリアブが飛翔するのを見ると春が来たことを感じる.成虫越冬したテングチョウもせわしなく飛翔している.谷筋をしばらく詰めると,奥池までの明るい低木林の下り坂となる(写真).途中黄色の小さな花を多数つける落葉低木が目に付く.クスノキ科のクロモジかアブラチャンだろうか.開花は葉の展開よりやや早そうだ.どのような昆虫が訪花するのだろうか?谷にはおそらく逆瀬川に流れ込む渓流があり,一部湿地を形成している.カエルが早くも鳴いている.初夏に湿地の植物,動物を観察するため,また来ようと思う.奥池からはバスで山を下った.天候も良く,快適な春の山旅だった.