デンマーク映画 「わたしの叔父さん」 ONKEL

私の叔父さん デンマークの農村で酪農を営む叔父と姪の生活を淡々と描いている. 監督は若手のフラレ・ピーダセン.この映画で北欧,日本の映画祭でいくつかの賞を受賞している.姪のクリスは,足の不自由な叔父と二人で暮らしている.クリスの両親はどうや…

狩蜂と送粉 ノブドウとツチバチの関係について

開花した植物の花の花粉の多くは,昆虫たちによりめしべに運ばれ,受粉し結実する.虫媒花である.とりわけミツバチ,マルハナバチなどのハナバチ(Bee)は,花粉を運ぶ重要な送粉者である.ハチには,ハナバチ以外に,ハバチ,ヒメバチなど寄生バチ,そして獲…

春の東六甲の植物と昆虫たち

季節は急速に春に移り変わって行く.街ではサクラは終わりに近づいたが,東六甲の山を歩くと,雑木林の新緑と花が美しい.甲山北側の鷲林寺から山に入る.この近くには修道院もあり,広大な常緑の森が存在する.鷲林寺は,真言宗の寺で塔もあり,歴史のある…

感染症とニュートン

2月末から始まったコロナ禍による「籠の鳥状態」が取り合えず終わろうとしている.この3か月は一体何だったんだろうと思う.この際感染症について少し学ぼうと思い,のこのこ開店しているジュンク堂をさがし,岩波新書山本太郎著「感染症と文明」を購入.…

三浦しをん  「愛なき世界」について    

三浦しをん さんの「愛なき世界」(中央公論新社)を夏前に読んでみた.簡単な紹介を頼まれ,ネット上には公開されtていないので,少し修正して公開します.三浦さんの本は,前から気になっていて,読んでみると面白かったです. 東京本郷にあるT大理学部大…

東六甲山麓の冬の雑木林の散策 ウコギ科の植物など

東六甲山麓の市街地に近いところに保安林があり,そのためその地域の開発は進んでいない.さらに国交省がその地域の一部を生物の多様性を高めることと災害防止のため,アカメガシワなどを伐採し,コナラなど落葉樹を植栽している.年末から東六甲山麓の森を…

東六甲山麓のシナアブラギリなど

昨日仕事が休みで,天気も良いので東六甲山麓を歩いてみる.夙川上流の橋の上から,以前から気になっていた高木のシナアブラギリ(Aleurites fordil)の果実が目に付く.やや赤く色づき,遠目にはリンゴかカキに見える.シナアブラギリは種子から油を取るた…

映画 2重螺旋の恋人

週末神戸シネリーブルでフランス映画「2重螺旋の恋人」を観る.映画館で映画を見るのは久しぶりだ.原題は「L'Amant double」,訳せば「二人の恋人」.邦題はこりすぎだろう.監督は鬼才フランソワーズ・オゾン.主演は「十七歳」の娼婦役を演じた美貌のマリ…

庭のシャリンバイの実生

寒かった冬が終わり,急速に春らしくなってきた.庭の西側のユキヤナギ,スイセンがようやく開花を始める. 西側のスイセンの傍に苗木を植えたコナラが高木に成長している.東側には,鳥に運ばれたマユミの種子が低木に成長している.その周辺に実生がいくつ…

初冬の上高地 2017

11月の上旬,仕事が休みになり,冬に入る直前の景観を見るために信州・上高地に向かう.上高地は11月15日に閉山となり,バスによる入山はできない.連休後の6日から上高地の多くの山小屋も閉まる.当初徳沢の小屋に泊まる予定だったが,ここも小屋を閉めてい…

司馬遼太郎 国盗り物語

司馬の作品でエンターテインメントとして面白く読めるものは「竜馬が行く」「新選組血風録」,そして本作だろうか.しかし,全三巻とかなり長い小説だ.司馬もここまで長くなると思っていなかったようだ.前半は京都の油屋であった斉藤道三が美濃を支配し,…

新書で学ぶ生命科学入門  「ウイルスは生きている」 講談社現代新書

中屋敷均「生命のからくり」の続編である「ウイルスは生きている」を読んだ.前作は生命科学入門として適していると思った.今回は,自然史的な視点でウイルスと生物との相互作用についても詳しく述べられ,もちろんウイルス入門書としても読めるが,内容は…

初夏の湖北の街 長浜

5月の末,大阪からJRの快速で湖北の街長浜へ向かう.天気は薄曇りで暑くない.出歩くには適当な気候だ.長浜は琵琶湖の湖北に位置する秀吉が築城した城下町であり,門前町でもある.城は湖岸に再建されたものがあり,天守閣の最上階に上がると,琵琶湖と周…

春の六甲山 東お多福山 草原の植物

4月の末の土曜日,三田の博物館の研究員橋本佳延さんの案内で草原の再生の取り組みが行われている東お多福山に登る.子供のころ,東お多福山はススキの草原だった.自分の中学の卒業アルバムを見ると,おそらく1967年の春のお多福山で行われた校外学習…

映画 「奇跡がくれた数式」 

数学者を主人公とした映画がいくつかある.マット・デイモンが演じた「グッドウイルハンテイング」,ラッセル・クロウ演じる「ビューティフル・マインド」,邦画では寺尾聡が演じた「博士の愛した数式」などを思い出す.どれも魅力ある映画だ.映画の中で数…

京都 紫野 大徳寺界隈

2月の末,金曜日仕事がないので京都北区紫野(むらさきの)の大徳寺界隈に向かう.司馬遼太郎「街道をゆく34大徳寺散歩」によると紫野という地名は,染料の紫を取る紫草を採集する野原であったことから来たようだ.味のある地名だ.この地は古代の貴族た…

庭の哺乳類の糞について

先日妻が庭の隅に見たことのない糞があるとやや興奮気味に,言うので見に行くと,赤い小型の果実や黒い種子を含み,ネコより大型の糞であった.庭で始めてみる糞だ.この糞と同様のものを翌日も庭で見つける.六甲山南側山麓で生息する哺乳類で該当するもの…

秋の京都東山・真如堂界隈を歩く

先週金曜日,時間があったので昼前から妻と京都に向かう.紅葉には早いが,紅葉の土日に行くと猛烈な人で疲れるので早く行くことにする.天気は悪くない.四条で下車,賀茂川を渡り,蕎麦屋櫓で天婦羅蕎麦を食べ,京阪に乗り替え丸太町で下車.丸太町通りを…

映画 さざ波 45years

春先に封切られたとき,見損ねたのでビデオレンタルで観る.見どころは妻役シャーロット・ランプリングの演技だと思い,彼女を注視する.彼女の夫は結婚前に当時恋人の女性とスイスアルプスに行き,恋人は滑落して行方不明になり,消息を絶ち,凍結した遺体…

映画 ある天体学者の恋文 Correspondence

封切3日目,土曜の昼過ぎ神戸シネリーブルに行く.場内はシニア層中心で空席が目立つ.前作の監督は「鑑定士と顔のない依頼人」「ニュー・シネマ・パラダイス」などのイタリアの名匠ジュゼッペ・トルナトーレ.この作品は恋愛ミステリーとでもいう分野だろ…

映画 パリ3区の遺産相続人(My Old Lady)

物語はフランス特有の不動産売買制度であるヴィアジェviagerが設定された高級アパートの遺産相続をめぐってはじまる。ヴィアジェとはフランスの一種の年金制度のようなもので、格安で自分の不動産物件を売却するが、購入者は自由に売却できず、もとの所有者…

冬の京都植物園と下賀茂神社

以前原稿を書いて放置していたので、半年遅れるがUPする。 正月明けの日曜日,思ったほど寒くないので昼前に京都に出かける.烏丸で下車,地下鉄に乗り換え北大路下車.地上に出て,駅裏の路地の店で蕎麦と丼を食べる.久しぶりに京都で麺類を食べたが,阪神…

須田剋太の裸体画について

先日死んだ父の書棚を整理していると須田剋太画伯の裸体画が見つかった。以前見たことがあり、どこかにあるはずと思っていたが、仏像の写真などの間に封筒に入れられていた。1955年作。西宮市の住所も記入されている。色紙のような小さな厚紙に描かれている…

初夏の鞍馬山と叡電

6月はじめの土曜日、京都に向かう。阪急河原町に午前11時ごろ到着、京阪に乗り換え、出町柳で下車。鴨川西側の昔ながらの商店街で鯖寿司とぶっかけうどんを食べる。開店は12時丁度で少し待たされる。寿司の臭みはなく旨い。叡電の出町柳駅に戻り、2両…

新書で学ぶ生命科学入門 お勧めの新書

マクロ生物学の一分野の生態学を学び,いくつか野外の研究を行ってきた.しかし,ミクロ生物学についての勉強不足を感じていたので,この2年余り,新書10冊余りを生命科学入門として通勤電車などで読んでみた.自分が概略を知っていることの正確な意味を…

春の明石海岸と魚棚市場

12日土曜,昼過ぎ明石,林崎漁港西側の松江海岸に到着する.ここから加古川にかけて自然海岸が続き,石積みの防波堤がある釣りの好ポイントだ.夏には海水浴もできる.良く晴れているが,風が強いので車内でサンドイッチを食べて,海岸に降りる.海は透明…

海外ミステリードラマ フオール ,ブリッジとキリング

北アイルランドのベルファウストを舞台にしたミステリードラマ「フォール」シーズン2の放映が昨夜終了した.物語は美人の専門職の女性を狙い猟奇的殺人を続ける男ポール・スペクター(ジェイミー・ドーナン)と彼を追う捜査陣を指揮する女性警視ステラ・ギ…

リスボン大学付属植物園 自然史博物館について

リスボンの市街地図を見るとホテル近くの丘の上に植物園,博物館の表示があるので行ってみる.アベリーダ通りからケーブルカーで急な斜面を上がり,丘の上を道なりにしばらく歩くとリスボン大学付属植物園と自然史博物館があった.博物館は丘の上にあり,隣…

映画「リスボンに誘われて」とリスボンの街並み

今回リスボンに行った一つのきっかけは映画「リスボンに誘われて」を昨年秋ごろ神戸のシネリーブルで観たことだった.今回旅行前にもビデオを借りて再度観てみた.リスボンを舞台にヨーロッパを代表する俳優が出演する映画だ.主演というべきか,進行役と言…

リスボンの街について 

アムステルダムからリスボン行に乗り継ぎ,リスボン ボルテラ空港到着は夜11時ごろだった.出口でようやく出てきたスーツケースを受け取り,タクシー乗り場に向かう.かなりの乗客が並んでいる.ぼられるともネットでは書かれている.2階のタクシー降り場…