春の明石海岸と魚棚市場



 12日土曜,昼過ぎ明石,林崎漁港西側の松江海岸に到着する.ここから加古川にかけて自然海岸が続き,石積みの防波堤がある釣りの好ポイントだ.夏には海水浴もできる.良く晴れているが,風が強いので車内でサンドイッチを食べて,海岸に降りる.海は透明で美しく,春の陽光で水面が輝いている.波止の石にはびっしりと海藻がついている.波止で釣りをしている家族連れに話を聞くと,今日は何も釣れていないが,普段穴釣りで釣れるとのこと.景観も美しく,天気の良い日にのんびり釣りに来るには良いかもしれない.海峡の向こうの淡路島の西海岸には数基の風力発電が見える.肉眼では風車は回っていないように見える.海峡の沖合には好ポイントである有名な鹿ノ瀬があり,タイ,メバルなど多くの魚種の好漁場になり漁船が集まる.春先はイカナゴの漁場になっているのだろう.
 しばらく海岸をぶらついた後,明石駅南側の明石産の魚を売る市場「魚棚」に向かう.市場はイカノゴの釘煮を買う多くの客で賑わっていた.どの店もイカナゴを売り,値段も100g700円位.イカノゴが成長して大きくなり佃煮として食べにくくなると,値段が下がるようだ.イカナゴの釘煮(佃煮として煮込むと魚が釘のように曲がるからをそう呼ばれる)は食べる地域は阪神間でも神戸から西側に限られ,大阪出身の妻は大阪では食べないとのこと.神戸では夏に明石,淡路で採れたキュウセンベラを食べるが,大阪ではこれも食べることはない.近くに位置する二つの都市で魚の嗜好は少し違うようだ.
 イカナゴイカナゴ科に属し,地方名も多い.北半球の寒帯域から温帯域を中心に熱帯域まで、世界中に5属18種が分布する。沿岸の砂泥底に生息し、主にプランクトンを餌としている。日本産イカナゴは移動性が小さく各地に固有の系統群が存在しているらしい.北方系の魚であるため温暖な水域では夏には砂に潜って夏眠を行うとある(Wikiより)。成長すると20cmにもなり,地方では刺身にするらしい.東北では震災の後,コウナゴの名前であることをニュースで知った.関西では成長したものをゆでてカマスゴという名前で,売られている.軽くあぶって生姜醤油で食べると酒のあてに合うが少し癖がある.
 市場をぶらつき,イカナゴの釘煮,タコの煮つけを買い帰宅する.明石の市場は,ようやくやってきた春を迎えて人の動きも軽やかに見え,冬の終わりを感じた.