早春の六甲

春が急速に近づいている。早春3月ごろ裏六甲ではモクレン科の高木タムシバの白い花の開花が始まる。群落として開花していないため、派手さはないが、車道から遠くに見える清楚な白い花は美しい。この種は涼しいやや湿ったところが好きなのだろう。表六甲では見ることはできない。同じ頃だろうか、表六甲でツツジ科の低木アセビの白い花を見ることができる。小型の白い花が多数開花し、タムシバとともに随分早春の山では目立つ。まだまだ寒い山上の早春に開花し結実するための花粉を運ぶ昆虫たちはいるのだろうかと気になる。日の当たる草原では、越冬したタテハチョウ科のルリタテハの飛翔を見ることができるかもしれない。裏面は地味な褐色で、冬枯れの草原では、保護色となって全く目立たない。しかし、一度飛翔すると鮮やかな表面の瑠璃色の帯を見ることができる。エノキが近くにあれば、テングチョウのあわただしく飛ぶ姿もあるかもしれない。このようにして季節は本格的な春に移行する。表六甲のコナラ林の美しい新葉が展開を始めるのは4月後半だろうか。