ウッデイアレン タロットカード殺人事件 (Scoop)

「Match Point」に続いてアレン2回目のロンドンを舞台にしたミステリー。前回は皮肉、ジョークなしだったが、今回はアレン自身が主役を演じ、ニューヨーク時代のように皮肉、ジョーク満載。相手役は「Match Point」 「それでも恋するバルセロナ」にも出演したスカーレット・ヨハンソンユダヤアメリカ人)。よほどアレンが彼女を気に入ったのだろう。スカーレット・ヨハンソンは前回ほどセクシーさを前面に出さず、ジャーナリスト志望の学生を演じる。前作同様、ロンドンの街、郊外の貴族の庭園も美しい。そしてストーリーは、貴族階級の将来を期待される御曹司が娼婦殺しを続けて、破滅する。この犯罪を2人が暴く展開になる。「Match Point」では貴族階級の娘と結婚して成り上がるアイルランド人の貧しい青年を描いた。そこにはユダヤ系インテリニューヨーカーアレンのイギリス貴族に対する屈折した皮肉を感じた。今回も同じだ。おそらくアレンはニューヨークの強欲資本主義、市場原理主義も好んではいないだろう。しかし、アメリカの金融界を支配するのは、ユダヤ系と言われ、ブッシュに影響をあたえたネオコン(ニューヨークトロツキスト)もユダヤ系が中心だ。2作続けてイギリスのエスタブリシュ批判をするのは、イギリスの強固な階級社会も嫌いなのだろう。70歳を過ぎてまだまだ元気で、屈折した批判精神旺盛なウッデイ・アレンに驚いてしまう。映画の出来は「Match Point」が上だろう。次作はスペインを舞台にした「それでも恋するバルセロナ」。まあ、ラブコメ映画だと思うけれど、スペイン人の画家の恋人2人(ペネロペとハビエル・バルデム)の狂気じみた関係に自分を投影したのかもしれない。ハビエル・バルデムラグビーの元スペイン代表とは知らなかった。今回はスケッチがなしです。