映画 Elegy

 舞台はおそらくNew York。原作は「さようならコロンバス」で有名なPhilip Ross(ユダヤアメリカ人)の「The Dining Animal」。監督はスペインのイザベル・コイシュ。大学で古典文学を教えるデビッド(ベン・キングズレー イギリスの舞台俳優)は、孤独なインテリニューヨーカー。団塊の世代。大学で教え子のキューバ出身のコンスエラ(ペネロペ・クルス)と出会い恋に落ちる。ペネロペが際立って美しい。全編ピアノの静かな演奏が流れ、古典文学や絵画について語られペダンテイック。デビッドの友人ジョージにデニス・ホッパーが出演。デビッドとジョージが語る女性論も興味深い。街並みも美しい。評価は分かれるだろう。エゴイストでプライドの高い性欲の強いだけの孤独な初老の男のみじめな末路を描いている、と。  
 スタッフ、キャストとも、多くはヨーロッパ人。しかし原作、舞台は現代アメリカ。携帯電話は使われてもPC、メイルは一切使われない。デッビドが使うカメラもフイルムカメラ。彼の乗る車もサーブか。原稿も手書き。ヨーロッパ人の製作者のアメリカへの反感を感じる。2人の演技がよい。最後に深くコンスエラを愛していることに気づくデビッド。彼の演技は圧巻。はじめて人に心を開いたのだろう。そして、断絶していた息子との関係も回復する。ペネロペは多くの映画に出演しているが、最近やっと良い映画に出会うようになった。彼女の気品のある美貌を観るだけでも価値はあると思う。疲れた週末の夜、静かに観るのにお薦めか。スケッチはNYCの春の住宅街。