須田剋太の裸体画について




先日死んだ父の書棚を整理していると須田剋太画伯の裸体画が見つかった。以前見たことがあり、どこかにあるはずと思っていたが、仏像の写真などの間に封筒に入れられていた。1955年作。西宮市の住所も記入されている。色紙のような小さな厚紙に描かれている。須田さんの絵はもちろん司馬遼太郎の「街道を行く」でなじみがあった。司馬は須田さんの力強く、シンプルでどこか子供のような絵を気に入ったのだろう。「街道を行く」のシリーズが始まったのは1970年ごろのようだが、旅に同行し挿絵を描いている。須田さんは司馬の追悼文に当時無名の私を使ってくれたことへの謝辞を述べている。父はこのシリーズが気に入ったのだろう、ほぼ全巻を揃えていた。この裸婦像はどういうきっかけがあったのか分からないが、おそらく50年以上前、須田さんの西宮市の自宅に遊びに行き、もらったもののようだ。後で母は「あつかましい」と怒っていたような記憶がある。