初夏の湖北の街 長浜




5月の末,大阪からJRの快速で湖北の街長浜へ向かう.天気は薄曇りで暑くない.出歩くには適当な気候だ.長浜は琵琶湖の湖北に位置する秀吉が築城した城下町であり,門前町でもある.城は湖岸に再建されたものがあり,天守閣の最上階に上がると,琵琶湖と周辺の山々が一望できる.遠く竹生島石灰岩の山,伊吹山を見ることもでき,なかなか気持ちのよい眺めだ.城には隣接して歴史博物館が設置され,秀吉が湖北を支配するため,戦闘を行った賤ケ岳などについて展示がある.石田三成についても展示は多い.長浜市石田三成を街おこしに使っているようだ. この秀吉の湖岸の築城の経験が後に秀吉の大坂城の建設に大きく役立ったと思われる.城の東側には,趣のある古い商店街があり,その街を水路が走る.街の南北に北国街道が通り,古民家を利用した,飲食店,土産物,カフェ,レストラン,アクセサリー屋などが並び,若い人たちも店を営み,遠方から観光客が集まる.意外と店の数も多い.この日白人は見かけなかったが,アジアからの観光客もちらほら見られる.海外からのリピーターは,京都,奈良,大阪では飽き足らず,この小さな城下町に訪れるのだろう.日本人がフランス,イタリアの地方の田舎町を訪れるのに似ているのだろうか.この街がネット上ではどのように紹介されているのか少し興味を感じる.数年前用事で短時間津和野に寄った時も白人が来ていたのを思い出す.
城の近くで小柄な白人の女性を見かけたが,どうも観光客ではないので,長浜市のサイトを調べるとブラジル人約1500人が居住するとある.長浜市の人口は約60000人で結構な人数である.国際都市である.彼らは湖北にある工場や飲食店などで勤めているのだろう.戦前父が旧制高校生か大学生の時,旧制福井工業専門学校を卒業した父の叔父が繊維会社の技術者として,長浜に勤務し,その叔父の家に神戸の住吉からよく遊びに行ったらしい.父は琵琶湖でボートを借りて,竹生島近くまで漕いだというような話しもおぼろげに聞いたことがある.その父の話が今回の電車の小旅行に行ったきっかけになったと思う.今から70年以上前父が訪れた長浜はどのような街だったのだろうかと興味を感じた.
 大阪から電車で約1時間半,湖西の比叡,比良の山々と湖東の田園風景をぼんやり眺めながら,長浜に向かい,半日長浜を散策するのは悪くないかもしれない.できれば船に乗り,沖合の竹生島に行くのが良いと思う.