初冬の上高地 2017

11月の上旬,仕事が休みになり,冬に入る直前の景観を見るために信州・上高地に向かう.上高地は11月15日に閉山となり,バスによる入山はできない.連休後の6日から上高地の多くの山小屋も閉まる.当初徳沢の小屋に泊まる予定だったが,ここも小屋を閉めていた.そこで釜トンネルの入り口にある温泉宿「中の湯」に泊まることにした.「中の湯」は通年営業している.宿の露天風呂から一部雪をかぶった前穂高岳がくっきりと見えた.
翌朝,上高地に入る.かなり着込んでいるが寒い.梓川の右岸をゆっくり歩きながら明神池に向かう.道は部分的に凍結している.黄葉は終わり,カラマツの葉は落ち,植物はほとんど冬支度をしている.岳沢から前穂がくっきり見える.川の下流を見ると焼岳がも良く見える.快晴だ.しばらく歩くと日光があたり,暖かくなる.川沿いの湿地帯の水を覗くとイワナの姿も見える.この時期に入山する人は山の写真を狙う人が多いようだ.外国からの旅行客を結構いるが,人は多くない.気持ちの良い散策だ.明神では小屋をまだ開けており,コーヒーを飲むことができた.昼食を食べる人,イワナの塩焼きを食べる人など結構人が集まる.しかし,まもなく小屋を閉めるため小屋の掃除をしている.慌ただしい感じだ.もうすぐ長い冬がやって来るのだ.明神から梓川を渡り,徳沢まで1時間程度歩く.徳沢でも小屋の冬支度に忙しそうだ.宿泊も休憩もできない.しばらく陽だまりで休憩して,引き返す.随分前,夕方徳沢の小屋の風呂から見た前穂の岩壁が忘れられない.山から下りて来たのどかな徳沢の光景も美しかった.途中ニホンザル(Macaca fuscata)の集団に出会う.人から逃げない.人に慣れているのだろう.越冬前に食物をできるだけ食っているのだろうか.
河童橋まで戻ると観光客も多くなる.往復12kmのトレッキング.程よい疲労である.定期バスで山を降り,中の湯に向かう.気持ちの良い1日だった.初夏から夏の上高地は何度も来たが,この時期の上高地は初めてだった.また徳沢の小屋に泊まりたい.スケッチは明神の手前から梓川,焼岳を望む.