東六甲山麓の冬の雑木林の散策 ウコギ科の植物など

 東六甲山麓の市街地に近いところに保安林があり,そのためその地域の開発は進んでいない.さらに国交省がその地域の一部を生物の多様性を高めることと災害防止のため,アカメガシワなどを伐採し,コナラなど落葉樹を植栽している.年末から東六甲山麓の森をいくつか歩いている.新年晴天の3日にこの保安林を歩いてみた.こ



の地域の山側は,以前背の低いアカマツなどが散在する高原状の斜面に,湧水による池が点在し,オイカワなどの魚も生息していた.夏に泳ぎに行ったこともあるが,今では池はすべて消滅し,住宅や学校の敷地に変わっている.
 林内に入ると,クスノキなどの常緑樹が優占し,暗い.夏には藪となり,歩きにくいが今なら気持ちよく歩ける.林内には所々,低木のナンテン(メギ科),マンリョウヤブコウジ科)の赤い果実が目に付く.また,ヒメユズリハユズリハ科)の実生がかなり目に付く.これらは鳥に散布されたのだろう.ヒメユズリハは神社ではかなりの高木になるが,耐陰性があり実生は暗い林床でも成長するのだろう.また,ウコギ科のヤツデが点々と目に付き,冬でも開花している.秋の終わりに,開花しハエなどが多く訪花し,結実するのだろうか.ウコギ科には,カクレミノという変わった形の葉をもつ低木がある.特に希少な種ではないが,ヤツデほど分布は広くない.どちらも,常緑で,照葉樹林などのやや暗い林内に分布する低木で,カクレミノが見られるところでは,ヤツデは必ず見られ,そこではヤツデの個体数は多い.その反対はないようだ.保安林の南端では,タヌキだろうか.果実か種子を多数含んだ糞を見つけた.薄茶色の果実?はセンダン(センダン科)だろうか.センダンは冬にヒヨドリが果実を一斉に持ち去るのを観察したことがある.哺乳類も種子散布に貢献しているのかもしれない.冬場普段あまり歩かない常緑樹の林を歩くのも結構面白かった.