里山  Satoyama

里山は英語でもsatoyamaである。日本固有の自然景観で適当な英語もないのだろう。江戸時代から使用されたことばらしい。
景観としても生物の生息場所としても、貴重なものとされている。アカマツクヌギなどの二次的な雑木林、水田、ため池などの
セットをいう。フランスではワインの産地などで似たような景観を「テロワール」、インドネシアの農家の裏庭を「プラカンガン」というそうだ。
六甲山の北側に行けば神戸周辺でも、里山らしい景観を見ることはできる。この地域は、水田、雑木林、ため池の周辺も
も管理され、様々な貴重な動植物の生息場所になっている。人が雑木林の下草を刈り、クヌギなどを炭として焼くことで何とか維持される。
確かスペインに長期滞在していた小説家の堀田善衛が「ヨーロッパはどこも絵になる景観がある。それは人がいつも景観を意識していたからだ」
というようなこと言ったと思う。日本の里山は絵になる景観だ。しかし、日本の都市は残念ながらなかなか絵にならない。
かつて人は生活のために薪炭林を育て、水田のためにため池をつくった。それは単なる収益や合理主義・効率だけではないのだろう。
スケッチは裏六甲の夏の里山。春には農家の裏のヤマフジの花が見事だ。